個性豊かなMICROのカートリッジ

 左から、M-2100/5、M-2100/e、VF-3100/5、VF-3200/5、VF-3200/?、PLUS-1、LM-5、1970年代、音響家電各社がOEMカートリッジから脱却したころにアナログプレーヤー専門メーカーとして台頭したMICROのMMカートリッジ群。

 まだOEM全盛の頃M-2100がOEMカートリッジにはないメリハリのある元気な音質で好評を博した。プレーヤー父母くカートリッジを卒業したときに最初に手にするのがM-2100だと先輩諸氏は語っている。今聞いても元気溌剌で乗りの良い音楽は日本のカートリッジ共通の優等生的音質とは一線を画しており、カートリッジを変えたら音が変わった!ということを強烈に印象付ける存在だった。カートリッジを交換してステレオ装置の音を自分好みにするという遊びの火付け役と言ってもよい存在がMICROのカートリッジ群・・・・というのはいささか大げさだろうか?


M-2100/5

 MICROを代表するMMカートリッジ。

溌溂とした乗りの良い音質は発売当時から人気を博し、低価格ということもあってカートリッジで音の変化を楽しむ必須アイテム化した名機。

 発売当時は無垢ダイヤだったが、交換針は接合型となり、個性は半減したが、爽快な鳴りっぷりは現代の交換針でも聞くことができる。

 当時の無垢針が建材なら別世界の音を聴かせてくれる。個性豊かな逸品である。

PLUS-1

 PLUS-1となってMICROの個性はかなり後退したが、M-2100よりずっと近代的ですっきりとした音を聴かせてくれる。

 カートリッジの前面にPLUS-1の文字がデザインされたステッカーが貼ってあり、赤いボディと相まって遠くからでも直ぐにそれとわかる。

 どんなジャンルでもそつのない音が出てくるので安心して使えるカートリッジの一つだ。

LM-5

 LMシリーズの普及価格帯カートリッジ。高級品のような高価な針は持たないが、発電機構の基本性能がしっかりしていて現代の高音質録音LPでも十分音を引き出してくれる。

 知名度が低く、オークション市場にもあまり出てこないため評価は低いが、知る人ぞ知るという類のもので、出れば高値が付く。これが無くてはならないというほどではないが、あったら嬉しい逸品である。



VF-3100/5

 古風なモディに不思議な形のクランプが特徴のカートリッジ。

 海外メーカーによるMM型の特許獲得により、MM型の製造だできなくなった日本のカートリッジメーカーは急いで独自の発電機構を開発した。MICROはVF方式で世界特許を獲得し、国内外に供給した。VF-3100は三菱にOEMされDMC-82になった。

 出力電圧がやや低いため音が貧弱に感じるがボリュームを上げて聴き込むと密度の高い優等生的な音質であることが分かる。

 規模の大きいオーケストラとかジャズのビッグバンドではスケール感が物足りないが、小編成の弦楽四重奏曲や歌曲などは独特の滑らかさがあり、音楽を上品に聞かせてくれる。

VF-3200/5

 すっきりとした音で、レコードの音楽を上品にさらりと聴かせる独特の雰囲気がある。MICROはこのカートリッジに/5、/a、/Fの3種類の針を与え、対応する音楽ソースを幅を広げた。

 しかし、VM-3200は交換針メーカーにラインアップされていないため手に入らない。この写真の右側の例のように、青いクランプのPioneer用交換針が装着できる。VM-3200はPioneerにOEMしており、交換針が共通であることからVM-3200にも使用できる。

 本機はダンパーの劣化があり、良い状態で聴くことができなかったのが残念。高音質を謳うMMカートリッジの多くがダンパーに特殊なゴムを使っているため劣化が早く、使えないのが残念。