様々なヘッドシェル

アルミプレス成形タイプ

 約1mmの厚さのアルミニウム板をプレス成形したもので、縁の形や丸みなどは補強と共振防止のためのもので、これで十分の強度があり、音質も良好である。軽量化のためのスリットの有無、シルバーと艶消し黒が多い。

 このタイプは大量生産に向いており、普及価格帯に多用されている。弱点は取り付け部分のネックのカシメ加工にある。アルミニウム板の肉厚が薄いため、この部分の勘合面積が少ないことから、乱暴に扱うとカシメが緩んでガタが生じ、再生音が濁ってしまうので要注意。

ダイキャスト成形タイプ

 アルミ軽合金のダイキャスト成形によって様々な形状のヘッドシェルが作られている。素材も亜鉛やマグネシウムなど、音響特性を変化できるので個性のあるヘッドシェルが存在する。

 プレス成型品と比較してネック接続部の強度が高いので安心して扱えるのが利点だ。音質の調整はスペーサの材質によってある程度変えられるので、座面の平らなものの方が扱いやすい。

 このグループにはTechnicsタイプのものが音質も良好で使いがってもよい。

複合素材樹脂成型タイプ

 このタイプは安価な合成樹脂製から高価な防振複合素材を混入した特殊成型のものまで、幅広い。

 写真はPioneerの防振特殊素材をモールドしたもので、Pioneerのヘッドっシェルの中で最も素直な音質であることから、筆者のお気に入りヘッドシェルとなっている。

 単なる樹脂製か、防振素材かは目で見てもわからないが、触ってみればすぐわかる。指の力で曲がるものは単純な樹脂の可能性が高いので、高級なカートリッジには不向き。